ジュエリーで使われる白色系の貴金属と言えば、プラチナ、ホワイトゴールド、シルバーですが、どのような違いがあるかご存じでしょうか。ジュエリーを買う立場の方に関係する、色・輝き、重さ、強度（硬さ）、価格の視点で比較してお伝えいたします。

なお、ジュエリーに用いるプラチナ、ホワイトゴールド、シルバーは貴金属に他の金属を加えた合金がほとんどで、合金の種類によって性質が少しずつ異なります。ここに記すのは代表的な合金の傾向となります。ホワイトゴールドは白くするため金にパラジウムなどを加えることがほとんどです。

しかし、日本で販売されるプラチナ、ホワイトゴールド、シルバーのジュエリーはロジウムめっきされていることが多く、その場合、見た目は同じでシルバーより少し暗い色になります（ロジウムの反射率はシルバーとプラチナの中間ぐらいです）。ロジウムめっきをする理由は、プラチナとホワイトゴールドは主に日本人が好む純白に寄せるため、シルバーはめっきによって少し純白度は落ちますが黒ずみを避けるためです。シルバーは、空気や人の皮脂にわずかに含まれる硫黄成分と反応して黒ずみ（硫化）やすいのです。
 
なお、めっきは固体表面に金属の薄い膜をはる表面処理なので、時間とともに表面の薄い膜が剥がれていくことがあります。ロジウムめっきはめっきの中でも剝がれにくいと言われていますが、剥がれたときは地の貴金属が出てきます。その際、ロジウムに近いプラチナやシルバーは目立ちにくいですが、ホワイトゴールドは色むらを感じることがあります。
 

２．重さ

比重は合金の種類によって異なりますが大まかな目安で言うと、シルバー約10、ホワイトゴールドは品位によりますが大体13～16程度、プラチナ約20です。
同じデザイン（体積）のジュエリーなら、シルバーと比べるとホワイトゴールドは大体1.3～1.6程度、プラチナはほぼ倍の重さがあります。
プラチナ製の結婚指輪を細いのにずっしり重みがあると感じた方も多いのではないでしょうか。プラチナやホワイトゴールド製の指輪をつけた後に同じデザインのシルバー製の指輪をつけると、その軽さにびっくりするはずです。

３．強度（硬さ）

プラチナは硬いと思われていますが、決して硬くはありません。めっきをしていないプラチナの結婚指輪は、細かい傷だらけになっているケースが多いです。プラチナは硬いというより粘り強いという感じなので、宝石を留める爪には最適です（宝石が外れにくい）。
ホワイトゴールドは硬いですが少し脆いところがあります。指輪のサイズ直しなどの加工が断られることが多いのはそのためです（加工のため火にかけたり、形を整えようと叩いたりすると、ひびが入ることがあるなど）。
※同じゴールドでも、イエローゴールドは適度に硬くて非常に扱いやすい貴金属です。
シルバーはこの中では一番やわらかいので、指輪など力がかかりやすいアイテムは変形に注意が必要です。
 
プラチナ、ホワイトゴールド、シルバーともにロジウムめっきされていると、小傷がつきにくいなど強度や耐久性を若干上げる効果があります。

４．価格

同じデザインでも、使用する貴金属（地金）が異なると価格も異なることがあります。かつてはプラチナが高価なためプラチナよりは安価なホワイトゴールドが重宝されました。2023年現在は金価格とパラジウム価格が高騰しているため、ホワイトゴールド製商品とプラチナ製商品の価格差が少なくなっています。シルバー製商品は、プラチナやホワイトゴールド製商品に比べると価格は安くなります。
 
このように同じ白色系の貴金属でも、プラチナ、ホワイトゴールド、シルバーには違いがあります。以前はバランスの良いホワイトゴールドをビジネスシーンにおすすめしていましたが、現在の価格では一概にホワイトゴールドがふさわしいとは言えず、貴金属の上手な使い分けが必要と感じています。どのような基準で使い分ければよいのかを、次回のコラムで考えたいと思います。

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