この板は何だと思いますか?近くに置いてある5円玉は大きさの参考です。年季が入っていますので少々お見苦しいですが、実は、ジュエリー製作で使う工具なのです。
ジュエリー製作では色々な工具を使います。一般でもよく見る工具もあれば、一般にはなかなかお目にかからない工具もあります。写真は「すり板」と呼ばれる工具なのです。ただの汚れた板切れに見えますが、ジュエリー製作において縁の下の力持ちのような、欠かせない工具です。では、どのように使うものだと思いますか?
「すり板」は次の写真のように机に固定して使用します。「すり板」の役割は、ジュエリーを写真のように指ですり板に押しつけて固定させたり、ジュエリーを掴んだ道具を固定させたり、作業する手を支えたりして、作業が正確で効率的に行えるようにすることです。
上の写真はジュエリー(リング)を指ですり板に押しつけて、金属製の平らなヤスリで削っているシーンです。すり板の上で、貴金属を糸ノコ(細かい作業向きのノコギリ)で切ったり、リューター(先端に削り・研磨するための部品をつけられる高速回転工具)で削ったり磨いたりします。糸ノコで切るときは貴金属と一緒にすり板まで切ったり、ヤスリがけのときも一緒に削ったり、貴金属に穴をあけるときにすり板まで貫通させたりするので、すり板は傷つき少しずつ短くなっていきます。
工具店では次の写真のような板(上に置かれた綺麗な白い長板)の状態で販売されているものが多く、それを使いやすいように加工して使用します。作業する内容や使う人に合わせて板をカスタマイズするのです。下に置かれた少々お見苦しい板が、加工して製作に使用している現在のすり板です(最初の写真の板です)。
最初の写真のすり板は、右端の板面が平で、右端からの切れ込みとその先に五円玉大の丸い穴(スリット)があります。スリットは主に糸ノコで貴金属の板などを切る際に使用します。スリットの間に糸ノコの刃がくるようにすれば、貴金属の板を安定させて切ることができるのです。左端は板面が傾斜していますが、この傾斜はヤスリをかける際の腕の動きと平行になっています。こちら側には三角のスリットがありますが、これは板が欠けてしまったわけではなく、ジュエリーをひっかけて固定するためめのスリットです。
ちなみに、ヨーロッパでは上の写真よりも厚くて短いすり板を使用するようです。日本は、飛鳥・奈良時代から江戸時代の末期まで、かんざしなどを除き装身具がありませんでしたが、仏具・武具などを作る金属加工技術はありました。明治時代に入るとその技術を活かしてジュエリーを含む装身具の製作が始まったので、現在でもヨーロッパと使う工具が少し違うところがあるのです。
※ 装身具:人間が身体を飾るのに用いる全てのもの
※ ジュエリー:装身具のうち、使用する素材は、地金は金・銀・プラチナ類、天然あるいは人工の宝石素材のみを使用したもの
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